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鳴海 一成; 佐藤 勝也; 菊地 正博; 舟山 知夫; 北山 滋; 柳沢 忠*; 渡辺 宏; 山本 和生
Mutation Research; DNA Repair, 435(3), p.233 - 243, 1999/00
放射線抵抗性細菌デイノコッカス・ラジオデュランスのDNA修復能欠損株であるrec30株は放射線に極めて感受性を示し、重要なDNA修復遺伝子に変異が生じているものと考えられる。この変異株のrecA遺伝子座のDNA塩基配列を野生株のものと較べて解析した結果、変異株ではrecA構造遺伝子内に変異があることを突き止め、その正確な変異部位を同定した。また、ラジオデュランスの遺伝子を大腸菌で発現させることは今まで困難であったが、正常及び変異recA遺伝子を大腸菌で大量に発現させることに成功した。さらに、ラジオジュランスの遺伝子を発現している大腸菌の線耐性を測定した結果、ラジオデュランスの正常recA遺伝子が大腸菌のrecA遺伝子の働きを完全に捕らえること、異常recA遺伝子が組換え修復能を完全に失っていることを明らかにした。
伊藤 均; C.Ki-Jung*
食品照射, 30(1-2), p.6 - 10, 1995/00
食品中に高線量照射後に生残する可能性のある放射線抵抗性菌が微生物学的安全性の観点から問題にされてきた。本研究では冷凍エビ中に高線量照射後に生残する赤色コロニーを形成する細菌類について分類学的性質と放射線感受性について検討した。冷凍エビより分類した5株の内、4株はグラム陽性球菌であり、1株はグラム陽性桿菌であった。しかし、各株の生化学的諸性質は類似しており、細胞壁のペプチドグリカン中にオルニチンを含み、DNAのグアニン・シトシン含量が58~68%であることにより、全株ともDeinococaceaeに属すことが明らかである。このうち、球菌グループの4株はDeinococcus proteolyticusと同定され、桿菌はDeinobacter grandisと同定した。各株の燐酸緩衝液中でのD値は好気的条件下で0.6~2.0kGyとなり、嫌気的条件下では1.2~2.4kGyとなった。また照射後の生存率は豊栄養培地の方が一般培地より若干高かった。
菊地 正博; 北山 滋*; S.H.Sjarief*; 渡辺 宏
Radiat. Res., 139, p.123 - 125, 1994/00
被引用回数:5 パーセンタイル:41.86(Biology)Deinococcus radioduransは放射線抵抗性菌として知られている。その抵抗性は、DNA2本鎖切断を含めて、DNA損傷を効率よく修復できるからであることがわかっているが、遺伝子レベルでの解析は進んでいない。本研究では、ベクター構築のため、MR株・KR株・Sark株のプラスミドを分離し、制限酵素切断パターンを比較した。その結果、Sark株では、既知の2種のプラスミドの他に、87kbpのプラスミド(pDSK3)の存在が確認された。また、MR株では、既知のプラスミド(pS16)の他に、110kbpのプラスミド(pDMR2)の存在が確認された。KR株では、105kbpのプラスミドのみ確認された。しかしながら、これらの菌株に共通のプラスミドは見られなかった。これらのプラスミドは、この菌の放射線耐性遺伝子をクローニングするためのシャトルベクターの構築に有効であると考えられる。
渡辺 宏; 稲葉 繁*; 小林 泰彦; 菊地 正博; 小畑 蘭子
Proc. of the 2nd Int. Symp. on Advanced Nuclear Energy Research; Evolution by Accelerators, p.551 - 555, 1990/00
D.radioduransに対するイオンビーム照射効果を、真空乾燥状態で照射した場合の生存率、及び電子顕微鏡による細胞構造変化の観察などから検討した。0.4MeVCイオンで照射した時の生存率は指数函数的に減少し、真空乾燥状態でLETの高い放射線で照射した場合には、損傷修復能の高い放射線抵抗性細菌であっても修復できないことが明らかとなった。このイオン照射した細胞を電顕観察した結果、Cイオン照射では低線量で細胞内の核様体及び顆粒などの破壊が観察されたが、細胞壁構造の破壊については電子線照射したものと大きな相違はみれらなかった。このことから、Cイオンによる大きな致死効果は、核様体や細胞質内顆粒の破壊によるものと考えられる。
伊藤 均
微生物の分離法, p.542 - 548, 1985/00
種々の環境からの微生物の分離・培養法の一つとして、放射線抵抗性菌の分離法の特徴づけを行った。放射線抵抗性菌とは胞子を形成しない栄養細胞の状態で著しい放射線抵抗性を示す微生物のことである。一般の微生物は10~50万radの照射で殺菌できるが、放射線抵抗性菌は100から200万rad以上照射しても生き残ることができ、食品照射や医療品滅菌の実用化の上で問題になることがある。一方、この抵抗性の機構をしらべることにより、放射線殺菌の効率化,癌治療,老化機構などの研究に役立てることが可能と思われる。放射線抵抗性菌を分離するためには照射によるミクロフローラ変化をしらべる必要がある。分離菌の同定は一般の常法で行うことができる。なぜなら、これまでの研究過程で著しく変った突然変異株は分離されていないからである。
伊藤 均; 渡辺 宏; 武久 正昭; 飯塚 廣*
Agricultural and Biological Chemistry, 47(6), p.1239 - 1247, 1983/00
1Mrad以上照射した下水汚泥および飼料から6株の放射線抵抗性球菌が分離された。これらの分離株はnutrient agarで生育でき、一部の菌株はglutamate agarでも生育した。各分離株は単球菌または2連球で、4連球菌となるものもあった。細胞は0.8~1.0mで、ペプチッドグリカンは全株がオルニチン型である。細胞の主要脂肪酸組成はCである。DNAのGC含量は59~66mol%であり、これらの性質は「Micrococcus radiodurans」と同じグループに属することを示している。最近BrooksとMurrayはこのグループを新属のDeinococcusと提唱しており、本研究の分離株TD1,TD3,TD9,Fr3,Fr7はD.proteolyticusと同定された。しかしT843株は脂肪酸組成がCとCであり、GC含量も59%と小さく、白色コロニーを形成する点から新たにD.takasakiensisと命名した。各菌株は放射線抵抗性でD値は0.10~0.25Mradあり、Deinococcusの全株で酸素効果がほとんど認められない点は他の細菌類と異なった特徴である。
伊藤 均; 渡辺 宏; 武久 正昭; 飯塚 廣*
食品照射, 16, p.24 - 28, 1981/00
汚泥の脱水ケーキおよび配合飼料の放射線処理の研究は病原性細菌や変敗糸状菌を目的としているが、放射線照射により全体の菌数が減少することも望ましいことである。今回は放射線抵抗性菌として分離されたred micrococcusの分類学的性質および放射線感受性について比較した結果を報告する。汚泥および飼料から分離された6株はいずれも2連球または4連球菌であり、細胞の大きさは0.8~2.0である。各菌株ともnutrient agarで活発に生育し、一部の菌株はglutamate agarでも生育できる点はM.radioduransよりもM.roseusに類似していた。しかし、リゾチームで溶菌しにくい点や多くの生理的性質はM.radioduransに類似していた。またDNAのGC含量が59~66%であり細胞壁のアミノ酸組成がオルニチン型の点もM.radioduransと同じであり、これらの株が同族であることを示している。D値は0.10~0.34MradでありM.radioduransと類似の放射線抵抗性を示した。
伊藤 均; 飯塚 廣*
Agricultural and Biological Chemistry, 44(6), p.1315 - 1320, 1980/00
赤いコロニーを形成する放射線抵抗性のグラム陰性細菌は主に照射米より分離されてきており、著者らは1971年にPseudomonas属の新種として報告した。今回は米以外の照射かまぼこ,飼料,照射下水汚泥からの分離株も含めて、Bergey's Manual of Determinative Bacteriology第8版に従って分類学的に性質を再検討した。各分離株と赤色のカロチノイド色素を蓄積し、細胞内にポリヒドロキシ酪酸顆粒を蓄積する。標準株0-1のDNA中のGC含量は65%である。各分離株ともglucose好気的に分解し醗酵能はなかった。各分離株の放射線抵抗性およびカタラーゼ活性は菌株によって大きく異なっており、カタラーゼ活性そのものは放射線抵抗性に直接関係していないことがわかった。しかし、照射中の酸素効果の菌株による変動はカタラーゼ活性の強さと相関関係にあった。このことは好気的条件下では菌体内カタラーゼが保護的に作用することを示しているように思われる。
伊藤 均
Agricultural and Biological Chemistry, 41(1), p.35 - 41, 1977/01
鋸屑と米糠を主成分とする鋸屑培養基を放射線殺菌してキノコ類を人工栽培する研究を行なっていた際に放射線抵抗性の強いMicrococcusが培養基中に増殖してきた。各試料から分離された赤色コロニーを形成する3株の代表株のうち、H54、H55の2株はグラム陽性の二連または4連の球菌であり分類学的性質はAndersonらの分離したMicrococcus radiodurans R株とほぼ一致していた。そこで、この2株をM.Radioduransと同定した。一方、H48株はグラム陽性の二連球菌で細胞が他の株より著しく小さく、硝酸塩の還元能、栄養要求性など他の株と異なっていた。そこで、本菌をM.Radioduransの変種として同定し、M.Radiodurans var.Riboflavus nov.var.と命名した。これら3株のGC含量は65~67%であり、細胞壁のアミノ酸組成はオルニチン型を示していた。各分離株の放射線に対する抵抗性もR株と似ていたが、生存曲線の形は菌株により異なっていた。各株の燐酸緩衝液中でのD0値は190~300kradだった。
伊藤 均
日本原子力学会誌, 18(1), p.24 - 25, 1976/01
一般に微生物の放射線抵抗性は細胞が休眠状態にある胞子で強く、細胞が活発に活動している栄養細胞の状態では弱い。しかし栄養細胞の状態でも著しい放射線抵抗性を有するものが例外的に見出されており、これらを放射線抵抗性菌と呼んでいる。その代表的なものとしてはマイクロコッカスラジオジュランスが有名であり、東大の矢野らが発見したアルスロバクター・ラジオトレランスは現在知られている中で最も強く500万ラドでも生存することができる。筆者らが分離したシュウドモナス・ラジオラは細菌胞子と同程度の抵抗性を有しているが、グラム陰性菌である点が他の放射線抵抗性菌と異なった特徴である。これらの菌の放射線抵抗性の原因はDNAの修復能が他の微生物類より異常に強いためと考えられているがはっきりしたことはわかっていない。放射線抵抗性菌の存在は貯蔵期間の延長を目的とする食品の放射線殺菌においては問題になっていないが、今後検討すべき課題の一つであろう。(解説)
伊藤 均; 飯塚 廣*; 佐藤 友太郎*
Agricultural and Biological Chemistry, 38(9), p.1597 - 1602, 1974/09
米の線照射によるミクロフローラの変動について検討している際に分離した放射線抵抗性の無胞子酵母菌は収穫直後の正常玄米の特有菌であることについてはすでに報告した。今回、その分離学的性質よりTrichosporon属の新種として同定し、Trichosporon oryzae nov.sp.と命名した。本菌の分類的諸性質はTr.cutaneum,Tr.inkin,Tr.pullulansなどの生理的性質が活発なgroupと似ており、本菌の場合は耐滲透圧性が強かった。本菌の放射線抵抗性はSaccharomyces cerevisiaeなどの一般酵母菌に比較して著しく強かったが、Trichosporon属の中にはTr.inkinやTr.capitatumなども本菌と同様な放射線抵抗性を有していることがわかった。すなわち、本菌の放射線抵抗性細胞のD値は約120~160kradであり、この値は黒酵母菌として知られる放射線抵抗性真菌Pullularia pullulansに匹敵するものである。